神戸は、洋食の歴史を語るときによく登場する街です。ただし、神戸が洋食発祥の地だと言い切ることはできません。長崎や横浜、東京にも先行する例があるからです。ここでは、神戸市と神戸観光局の説明をもとに、神戸で洋食が広まっていった流れを見てみます。
開港と外国人居留地
神戸市の「神戸歴史遺産」には、外国人居留地が造成されて商館などが建てられたと書かれています。そこから西洋食やスポーツなどの西洋文化が持ち込まれ、神戸の文化的な発展にも影響を与えた、という説明です。
ホテルのシェフから街の洋食へ
神戸観光局の「Feel KOBE」(2022年10月の取材記事)によると、1868年の開港をきっかけに、外国人向けのホテルで西洋料理の提供が始まりました。1870年に居留地でオープンした旧オリエンタルホテルの洋食は評判だったそうです。料理を手がけたのはルイ・ベギューで、築地ホテル館と横浜グランドホテルの初代料理長でもあり、その技が日本人のコックに受け継がれたとされます。
その後、ホテル出身のシェフや外航船のコックが自分の店を開き、日本人の好みに合わせた洋食が広まっていったと説明されています。
老舗の例
同じ記事では、老舗の例も紹介されています。創業年はお店側の情報に基づく可能性があるため、「〜とされる」の形でご紹介します。
- グリル十字屋:1933年創業。初代は雲仙のホテルでオランダ人シェフに師事した
- 伊藤グリル:1923年開業で、2023年に開業100年。初代は欧州で船上コックを務めた
なお、居留地は1899年に廃止されています。そのため、居留地の中に今も老舗が多い、とは書けません。開港から続く流れの中で、ホテルや船で腕を磨いた人たちが街に洋食を広げた、というのが説明の骨子です。老舗の創業年にはお店側の情報に基づくものもあるため、細かな年にこだわりすぎず、神戸の街が海外との交流を通じて食文化を育てた流れを、ゆったり味わうのがおすすめです。1863年に長崎で良林亭が日本初の西洋料理店とされるように、洋食の歴史はいくつもの港町で重なっています。
お出かけ前には、お店の公式な案内で営業日や時間を確認してください。神戸の洋食にまつわる思い出は、投稿でぜひ聞かせてください。